前回の記事では、行政向けプロポーザルでAIを使うなら「仕様書を読むだけ」で終わらせず、「自社理解 → ネタ出し → 上司確認 → 提案書作成」の順で使うのが効果的、という話を書きました。
今回は実務でそのまま使えるように、「仕様書読解・提案ネタ出し・上司確認に使えるAIプロンプトテンプレ」をまとめます。
最近はプロンプトに頼らなくてもAIが優秀なので、簡単な指示でもそれっぽい提案書を作ってくれます。
ただ、使い慣れていないと「どんな情報を、どの順番で入れればいいか」が分からず、結局うまく使えないことが多いと思います。そこで今回は、迷わず回せる型(テンプレ)として整理しました。
※すべてのテンプレを使う必要はありません。案件や社内フローに合わせて、必要なものだけ使い分けてください。
※機密情報・個人情報は入力しない前提で運用してください(後ほど要点だけまとめます)。
前回までのおさらい|仕様書を読むだけでは提案にならない理由
行政案件の提案書は、仕様書に沿うことが大前提です。だからこそ、AIに仕様書だけを読ませて「提案書っぽい文章」を作ると、他社と似た内容になりやすいです。
差がつくのは仕様書そのものより、「仕様書の前後」です。
【前】自社の強み・実績・体制をAIに理解させる
【後】ネタの方向性を上司と合わせてから書く
この順番が、AIを「要約ツール」から「提案づくりの補助輪」に変えます。
このテンプレ記事の使い方(いきなり提案書全文を作らせない)
この記事のテンプレは、順番に使うと一番効きます。いきなり「提案書を全文書いて」と頼むと、整っているけれど平均点の文が出がちです。
おすすめの使い方はこれです。
- 共通指示(役割)を入れる
- 仕様書を整理する(要点・評価・確認事項)
- 自社情報を整理する
- 仕様書×自社でネタ出しする
- 上司確認用の論点をまとめる
- 方向性が決まってから本文を章ごとに作る
AIは「一撃で完成」より、「段階的に精度を上げる」ほうが強いです。
使う前の前提|機密情報・個人情報を入れない運用ルール
注意事項は長くなるので、要点だけに絞ります。行政営業でAIを使うなら、最低限この3つは守るのがおすすめです。
【機密情報は入れない】社名、案件名、見積金額、未公開条件、固有の体制詳細などは伏せる
【個人情報は入れない】氏名、メール、電話、住所、個人が特定できる情報は入力しない
【AI出力は必ず確認する】仕様書にない条件を“あるように”書くことがあります(誤情報対策)
実務で困らないコツは「伏せ字」と「一般化」です。
例:
「A市○○課」→「自治体担当部門」
「田中がPM(責任者)」→「PMを1名配置」
共通で使えるAIへの役割指示テンプレ(最初に入れる文)
最初にこれを入れておくと、以降の出力が安定します。
※このブロックは毎回コピペでOKです。
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あなたは行政向けプロポーザル(提案書)作成を支援する実務アシスタントです。
目的は「仕様書の要約」ではなく、「提案の方向性を整理し、提案の質を上げること」です。
ルール:
– 事実と推測を分けて書く
– 不明点は「不明」と明記する
– 行政案件向けに断定しすぎない
– 観点は「実現性・再現性・体制・リスク対応・利用者視点」
– 回答は見出し+箇条書き
– 最後に「上司確認が必要な論点」を3〜5個出す
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仕様書読解テンプレ
※仕様書をAIに添付できるなら、そのほうが楽です。貼り付けでももちろんOKです。
①仕様書の要点整理
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以下は行政案件の仕様書(または募集要項)の抜粋です。提案準備の初動で使えるように整理してください。
- 目的(発注者が達成したいこと)
- 必須要件(満たさないと不利になる項目)
- 評価されそうなポイント(加点観点の仮説)
- 提案書で必ず触れる論点
- 見落としやすい注意点(納期・体制・提出形式など)
- 不明点/質問票で確認したい点
【仕様書テキスト】
[ここに貼る]
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②評価項目の読み解き
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以下の評価項目・審査基準をもとに、どう見せると評価されやすいかの観点で整理してください。
– 評価項目ごとの意図(審査側が見たいもの)
– 高評価を取りやすい提案の特徴(仮説)
– よくある弱い提案の特徴(避けたい)
– 評価項目に対応する章立て案
– 上司確認が必要な論点
【評価項目】
[ここに貼る]
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③質問票のたたき台作成
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以下の仕様書を前提に、質問票に入れる確認事項のたたき台を作ってください。
– 優先度(高/中/低)付き
– 質問の意図を一言添える
– すでに明記されている内容は質問しない
– 行政案件向けの丁寧で簡潔な表現にする
【仕様書抜粋】
[ここに貼る]
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自社理解を整理するテンプレ
①自社の強み整理
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以下の当社情報メモを、行政向けプロポーザルで使えるように整理してください。
- 当社の強み(差別化ポイント)3〜5個
- 実績の見せ方(行政向けに刺さる言い換え)
- 体制面の安心材料(再現性・継続性・責任者配置)
- リスク対応として使える材料
- 30〜60文字の訴求文を5案
【当社情報メモ】
[実績、体制、強み、顧客評価など]
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②提案用プロフィール化(使い回し用)
※会社概要が添付できるならそのほうが早いです。部署で専用の概要があるなら、ここは省略してOKです。
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以下の情報をもとに、行政向け提案で使える「当社プロフィール」を作ってください。
– 300字版 / 600字版 / 箇条書き版
– 誇張表現は避ける
– 個人名や機密は伏せた表現にする
【当社情報】
[ここに貼る]
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提案のネタ出しテンプレ(仕様書 × 自社情報)
①提案の柱(3本)を出す
※「3案」は目安です。2案でも5案でも、案件に合わせてOKです。
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仕様書要点と当社情報をもとに、提案の柱を3案作ってください。
各案について:
– どの要件に強いか
– どの当社強みを使うか
– 想定される懸念点
– 懸念への先回り回答
最後に「最も現実的な案」「最も差別化しやすい案」を1つずつ選んでください。
【仕様書要点】
[貼る]
【当社情報(整理版)】
[貼る]
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②差別化ネタを出す(似た提案を避ける)
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行政案件では提案が似通いやすい前提で、仕様逸脱せず実現性のある差別化ネタを出してください。
- ありがちな提案パターン(避けたい)
- 差別化の切り口(5〜10案)
- 刺さる理由
- 提案書のどの章で出すと効くか
- 上司確認が必要な論点
【仕様書要点】
[貼る]
【当社情報】
[貼る]
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③リスク・弱点を先に洗う(赤入れ用)
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以下の提案方向について、審査目線で弱点を厳しめに洗い出してください。
– 突っ込まれそうな点
– 根拠不足
– 誇張に見える表現
– 実現性の不安
– 改善案(どう直すと通りやすいか)
【提案方向メモ】
[貼る]
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上司確認を短時間で終わらせるテンプレ
①確認論点の整理(A案/B案で出す)
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上司に提案の方向性を確認したいです。短時間で決められるように整理してください。
- 上司確認の目的
- 確認すべき論点(優先度順 5〜8個)
- 各論点の選択肢(A案/B案)
- メリット・デメリット
- 1分で説明できる要約メモ
- 決まった後に提案書へ反映すべき箇所
【案件情報】
[貼る]
【仕様書要点】
[貼る]
【当社情報】
[貼る]
【ネタ案】
[貼る]
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②口頭説明メモ(5分相談用)
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以下の提案方向案を、上司に5分で相談する想定で口頭説明メモにしてください。
– ですます調
– 結論先出し
– 勝ち筋/懸念/確認したい点がすぐ分かる構成
– 読み上げやすい文章
【提案方向案】
[貼る]
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③上司指摘の反映テンプレ
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上司からの指摘を踏まえて提案方針を更新してください。
【上司の指摘】
[貼る]
【現在の提案方向】
[貼る]
- 更新後の提案方針(1段落)
- 提案の柱(修正版)
- 章立てへの反映ポイント
- 差し替えるべき表現(NG→改善例)
- 次に本文を作るためのAIへの指示文
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提案書本文作成テンプレ(方向性確定後に使う)
まずは章単位で作るのがおすすめです(後戻りが減ります)。
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以下の条件で、行政向けプロポーザル提案書の本文たたき台を作ってください。
まずは「第[章番号]章」だけ作成してください。
– 仕様書の表現をなぞるだけにしない
– 当社の強みが自然に伝わるようにする
– 誇張・断定しすぎを避ける(ですます調)
– 見出し→本文→箇条書きで整理
– 不明点は注記する
【案件概要】
[貼る]
【仕様書要点】
[貼る]
【当社情報】
[貼る]
【確定した提案方針】
[貼る]
【作成対象の章】
第[章番号]章:[章タイトル]
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テンプレを使うときのコツ|AIを“完成装置”ではなく“たたき台生成機”として使う
最後に、運用のコツだけ短くまとめます。
全文を一気に作らせない:要点整理 → ネタ出し → 上司確認 → 章ごと作成が安定します
AIの文章は「整って見える」だけのことがある:仕様書・自社情報と照合してから使います
差別化は「言い換え」ではなく「運用・体制・進め方」で作る:ここをAIに掘らせると強いです
上司確認は先にやる:方向性が固まってから書けば、差し戻しが減ります
まとめ|テンプレ化すると行政営業のAI活用は再現性が上がる
行政向けプロポーザルでAIを活用するなら、ポイントは「仕様書を読ませること」ではなく、「仕様書の前後でどう使うか」です。
テンプレ化しておくと、案件が変わっても同じ流れで回せるので、提案の再現性が上がります。
・仕様書読解で論点を整理し
・自社情報を入れてネタを出し
・上司確認で方向性を固め
・章ごとに提案書を作る
この流れを一度作ってしまえば、AIは行政営業の実務でかなり心強い相棒になります。
まずは次の案件で、この記事のテンプレを1つだけでも試してみてください。テンプレを使うほど、提案書作成は「属人芸」から「再現できる型」に変わっていきます。


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